「本当にアイツになにもされてない?」
真っ直ぐにこちらを見つめてそっと私の頬に大きな手を添える。
「うん……っ」
「よかった〜……羽音がめちゃくちゃにされてたら俺……」
気が抜けたような声でそう言って、強く私を抱きしめる。
その瞬間、ホッとしたのか自然と涙がこぼれた。
「やっぱり羽音のことは放っておけないよ、俺」
「うぅ……っふぇ……ごめんなさ……っ」
「謝ることないよ。悪いのは全部アイツだし」
私の背中を優しくさすってくれる黒澤くん。
黒澤くんの胸の中で私はたくさん泣いた。
「あのね……っわた、し……」
「なにがあったの? ゆっくりでいいから話して」
そして私は少しずつ黒澤くんに昨日の出来事からさっきまでのことを全てを話した。
「……なるほどね。とんでもないヤツだね、ほんと」
「私もビックリした……」
まさか、先輩が私にそんなことするなんて思いもしなかった。
美人とか可愛いとか無縁だしって完全に油断してた。
先輩も私を襲おうとするなんて……一瞬の気の迷いかな?
「だから、前も言ったじゃん。羽音は可愛いから俺は心配なんだって」
「でも……」
「ここまでされても自分がどれだけ可愛いかわからない?」
「うーん……」
いくら可愛いと言われても納得できない。
初花みたいな子が可愛いっていうのはわかるんだけど……。



