「はぁ〜〜……」
スマホ……仕方ないか。
トボトボと黒澤くんの待つ、下駄箱へ戻る。
「羽音、おかえり。ケータイあった?」
「あ、う、うん! おまたせ!」
さすがに、神楽先輩のあんなところを見てしまったなんて恥ずかしくて言えない。
自分のことじゃないのにまだ少し顔が熱いもん。
「あれ羽音、顔赤くない?」
「……っえ!? あ、ちょっと走ったからかな? えへへ……」
とか言ってごまかす。
「そっか。焦らなくても良かったのに」
あぁ……口が裂けても言えない。
優しく笑う黒澤くんに少し罪悪感。
せっかく待っててくれたのに、スマホゲットできなかったし……。
まあ、いいや! さっきのことは忘れよう!



