なんだか黒澤くんと触れるのが恥ずかしくて、少し距離を置くと黒澤くんに肩を抱き寄せられた。
『あ……っく、黒澤くん』
『羽音、そんなに離れたら濡れるよ』
狭いカサの中、私の胸の鼓動はどんどん加速する。
『で、でも……』
『カサの中だったら、少しぐらいくっついてても人目気にならないでしょ』
そう言ってニコッと笑った黒澤くんに私はドキドキが止まらなかった。
『相合傘って、濡れてる方が惚れてるらしいよ』
『……えっ?』
そう言われてカサを見ると、黒澤くんはほとんどカサの中に入っていなくて肩はびしょ濡れだった。
『あっ、ご、ごめんね! 私気が付かなくて……! 黒澤くん、びしょ濡れになってる……!』
と、カサを持ってくれている黒澤くんの手を彼の方へ押す。
『違うよ、そういうこと言いたかったんじゃなくて……』
『え?』
『な、何でもない』
『そ、そっかぁ』
俯く黒澤くんがなにを考えているのか、私にはわからなかった。
っていう、甘酸っぱい思い出。
あのときのドキドキは今でも鮮明に覚えている。



