「あ……ごめん」
「あ、えと、私、男の子が少し苦手で……少しビックリしただけ」
苦手になった原因人物はアナタですよ!という皮肉を込めて言った。
本当に男の子と話すの何年ぶりだろうか。
黒澤くんとのことがあってから、今までずっと男の子とは極力話さなかった。
親しくなると、また裏切られるような気がして……。
というか、今普通に黒澤くんと話せてる自分に驚く。
「そうなんだ……驚かせてごめんね」
「いえ……」
「どうして男の子が苦手なの?」
なんの悪気もなく聞いてくる黒澤くんに悔しくなる。
どうして私のこと覚えてないの?
今までにいろんな女の子と遊びすぎて忘れちゃった?
そう思うと腹が立ってきた。
「少しトラウマがあって……」
「そっか。ごめんね、なれなれしくしちゃって」
「ううん、大丈夫」
……そうだ。
黒澤くんが私を覚えてないならそれを利用すればいいんだ。
彼をオトして、散々弄んだ挙句、捨ててやる。
黒澤くんにも私と同じ思いをさせてやるんだ。
ーー私、千葉羽音は黒澤昴に仕返しします。



