「く、黒澤く……っ」
「なに? どうかした?」
何が言いたいのかわかってるくせに、知らないフリをする。
「……いや、なんでもない」
やっぱり、どう考えても振り回してるのは黒澤くんのほう。
―――――
―――
――
「じゃ、また月曜日ね」
「……うん」
私の家に着き、黒澤くんは寂しそうな顔をする。
「じゃあ、気をつけて帰ってね黒澤くん」
「わかった。また連絡するね」
手を振って、家に入ろうと方向転換した瞬間、黒澤くんが私の腕を引いて抱きしめる。
「ちょっと、黒澤くんなにして……っ」
「月曜日までの分、充電」
「……なに、それ」
「ごめんね、羽音バカで」
苦しいぐらいに私をギュッと抱きしめたあと、また改めてまたね、と手を振った。