「中学のときは、黒澤くんってそんな感じじゃなかったのに……」
「……中学のときは、恥ずかしくてほとんど言いたいこと言えなくて。好きって言えたのも、本当にキセキっていうレベル」
「そ、そうなの?」
「言わなくて後悔したこと、たくさんあったから……だからもう遠慮しないことにした」
ダメかな? と聞いてくる黒澤くんに私は大きく首を横に振る。
「よかった。でも俺、自分が思ってる以上に独占欲強くて羽音のこと好きかも」
「……ま、またそんなこと言って……っ」
「本当のことだよ」
「……っか、帰ろ」
黒澤くんの言葉に恥ずかしくなって、そう切り出す。
「……そうだね、帰ろっか」
ニヤニヤと嬉しそうに黒澤くんが私の手をとる。
反射的に手を離そうとしたけど、ギュッと握られて阻止される。



