ピンク色の桜が舞う、春。
「みなさん、ご入学おめでとうございます」
私、千葉羽音は念願の高校生活をスタートさせようとしていた。
高校生になったらまず、友達たくさんつくって、思い出たくさんつくって、できればカッコいい彼氏もつくって青春したい。
運命の王子様はきっとここで出会える……!
……そんな風に思っていたのに。
「今日からこのクラスの担任になりました、山田といいます。1年間よろしくお願いします」
担任の先生の話なんて全く耳に入ってこない。
先生の話よりも、私は隣の席の人物に釘付けだった。
ウソでしょ?
いやまさか、そんなワケないよね?
これは悪い夢?
超がつくほど見覚えのある人物。
その人物の存在に気付いてから、私の心臓は尋常じゃないほどドキドキしている。
ドキドキといっても、恋とかそんなんじゃない。
どちらかというと……恐怖の意味。