消えたい俺と犬




「ねぇ、紗奈……もう一回言ってよ」

俺は紗奈の言葉を信じられなくて、もう一度聞き返す。

「パスタが……パスタが、死んじゃった!!」

そう言って、紗奈は泣き崩れた。パスタがこの家に来て、数か月。

「……」

紗奈の話によると、パスタは事故に巻き込まれたそうだ。

「……そっか……」

俺は、そう言うことしか出来なかった。



「紗奈、学校は?」

俺は、閉じ籠ってる紗奈の部屋をノックしながら問いかける。

パスタが死んで数日。あれから、紗奈は部屋に閉じ籠ってしまった。

「……放っておいて!」

「え、でも……」

「うるさい!放っておいてよ!!」

「そう……じゃあ、俺は学校行くね……」

そう言って、俺は玄関に向かう。たまたま玄関にいたベーコンに、俺は「行ってくるね」と頭を撫でて、家を出た。



「――きて。――――くん。起きて」

誰かに呼ばれている気がして、俺は目を開ける。どこか見慣れない場所だ。

「あ……良かった~……」

黒髪の男の子は、俺を見ると、安心したように笑った。

「君は誰?ここはどこ?」

「……僕は、パスタ。ここは、君の夢の中。君に言いたいことがあって、ここに来たんだ。ベーコンもいるよ。おーい!ベーコン!!」

「は~い」