『お前なんて、とっとと消えろ!』

俺は、ふと目を覚ます。涙が、俺の頬を伝っていた。

毎晩、母さんから暴言を吐かれる夢を見ては、泣きながら目を覚ますんだ。

「……」

俺に近寄ってきた、俺の義理の家族が飼っている犬、ボーダー・コリーのベーコンが俺の頬をなめた。

ちなみに、ベーコンって名付けたのは、俺の義理の妹……らしい。

「……ベーコン……」

俺は布団から出ると、ベーコンをぎゅっと抱き締める。温かい……。

「ベーコン……聞いて。俺、また悪夢を見てさ。俺が父さんに連れられて、この家に来る前の夢。まだ、父さんがまともで良かった……」

俺はベーコンを撫でながら、眠れなくて昔の話をした。と言っても、最近の話だけど。

母さんが変わったのは、突然のことだった。俺が学校から帰ると、突然俺を殴ったり、暴言を吐いてきたんだ。

その時は、父さんは出張で家にいなかったんだよね。

俺は反抗できなかった。反抗するのが、怖かったから、父さんにも先生にも相談出来なかったんだ。

んで、ある日……学校で気を失って、気が付いたら病院にいて、何故か父さんがいてさ。

状況を説明して、父さんに怒られたよ。早く誰かに相談しろ!って。