「仕事が長引く神々や霊獣の、子供達をここで預かっているの」

 弥生さんは子供達を見ながら、私達に言った。

「あなたの友達はすごいわね!あの子達、もう色の作り方を覚えたわ。…貴重な瞬間ね」

「自慢の親友なんです」

 私は結月が誇らしくなった。

 結月と一緒に夢中になって花の絵を描いていた子供たちは、興奮し過ぎたせいか、ドラゴン、鳳凰、獅子、白蛇、小鹿などの姿に変身して、広間の中を飛び回った。

「変身したら、絵を描けないわよ!」

 弥生さんが叱った途端、彼らぱっと人間の姿に戻った。



「これ、よんで」


 紺野君が後ろを振り向くと、小さな子供たちが彼のセーターを引っ張り、人間の絵本を呼んでくれとせがんでいる。


「……僕?」


「うん。おにいちゃん」


「…………」


「よんで!」


「よんでー!!」


 紺野君はあきらめた様に、苦笑いした。



「…………はいはい」



 子供達に囲まれている紺野君を見ながら、大地は言った。


「教える側が習得してないと、子供達には人間の魅力が伝わらない」


 彼は、少し悔しそうに笑った。


「お前らが来てくれて本当に、良かった」


 私もつられて、笑顔になった。


 和音とレニ、それ以外の大きな子供たちが一斉に私を見た。


「今の…見た?」


「…見た!…さくらさんの笑顔!」


「…?」