ドラゴン・ノスタルジア

 まるで芸能人に遭遇した時の様に、生徒達は興奮しながら私達に近づいて来る。


「来たーーーー!!」


 …………来た?


「あの、『リツ』さん」

「何?」

 りっちゃんが近寄ると和音は嬉しそうに目を輝かせ、頭を下げた。

「良かったら、これを弾いていただけませんか?」

 広間の中央には、白いグランドピアノが置いてある。

「ピアノ?…いいよ!」

 りっちゃんが快く引き受け、この間コンクールで弾いた曲を奏でると、みんなは恍惚とした表情で彼女を見つめた。

「お願いがあります」

「?」

 和音が大地に聞こえない様に、りっちゃんに何やら相談を始めた。

「みんな、何をしているんだ?」

「先生には秘密です」

 大地が聞くと、レニは笑って答えをはぐらかした。

「生徒達が最近変なんだ。…嫌な予感しかしない」

 大地は悲しそうに、こっそり私に呟いた。


 だから帰るのが怖かったのかな?

 


「大地!!」


 突然、声が聞こえた。


 バスケットボールの球が、剛速球で大地に向かって飛んで来た。


「……!!」


 ぶつかる寸前に大地はひらりと身をかわし、そのボールは凌太の頭に命中した。


「いてっ!!」


「わ!別なヤツに当たった!」


「すみません!」


海流(カイル)空蓮(アレン)!!」


 15歳くらいの二人の少年が姿を現した。