大地はもうドラゴンに変身せず、私の隣を静かに歩きながら呟いた。

「ちょっと見ない間に随分いい男になったな、コンノ」

「そうだね」

 話しながら参道を歩き、気づくと神社の鳥居のすぐ側に着いていた。

「…お前まさか、コンノが好きなのか?」

「ううん」


「…じゃあ、別な人間の男が好きなのか?」


 もしかして、気にしてくれてる…?


「どきどきしたのは、大地だけ」


 大地は驚き、足を止めてこちらを見た。


「夏祭りの時、大地に会えるのが毎年すごく嬉しかった」


 鳥居の下、私は思った。


「…これが恋なのか、わからないけど」


 ちゃんと大地に気持ちを伝えたい。

 

「他の男の子にはこんな気持ちになった事、無いよ」



「……!」



 突然、

 大地は私を、抱きしめた。





「…………!」





 心臓の音が早くなる。





「…さくら、本当?」




 …神様。





「うん」






 今、大地に会えた事を
 心から、感謝しています。





「…嬉しい」





 彼は目を瞑り、私に
 顔を近づけてきて、




「…ちょっと大地…?」



 耳元から私の髪に指を通し、
 首筋に唇をつけた。


「……!!」


 
「あーっ!やっと見つけた!!」



 神社の方角から、りっちゃんの声が聞こえてきた。