｢あー、はいはい。また一緒なんですね｣

｢うっわ、何その反応！　嬉しくないの？　……って、ちょっと、どこ行くの？｣

｢……教室｣

次々とクラス表を見に来る人を、再び掻き分けながら、人混みから出ようと、１人で先に歩き出した夜流が、途中で足を止めて、振り返らずに言った。

｢おいてかないでよ〜｣

千鶴は、その場で呼び掛けたが、夜流は再び前を向いて歩き出して行ってしまった。

１人、取り残された千鶴は少し寂しそうな表情を浮かべて、でもすぐに笑顔になり、人混みを飛び出して叫んだ。

｢夜流のばぁーーか！｣

ずっと前を歩いてた夜流には、この叫び声が聞こえなかったのか、周りの人からの注目を浴びただけで、どんどん歩いていってしまった。

慌てて千鶴も走って追いかけていった。