｢ほぉらっ！　夜流早く！｣

クラス表の前に集る人を掻き分けて、先に辿り着いた千鶴が振り返ってピョコピョコと軽く飛び跳ねながら手を振っている。

｢あー、分かったから！　でかい声出すな！(恥ずかしい……)｣

呆れつつも、少し足早に、千鶴と同じように人を掻き分けながら前へ押し進んだ。

途中、鞄を引っ掛けたり、誰かの足を踏んだり、人が多すぎて誰かは分からないが取り合えず謝ったりで、やっとのことで千鶴の元に辿り着いた時には、少し息が上がってしまっていた。

｢遅っ！　てか体力なさすぎだよ｣

｢……っるせ！　つか、クラス表見るだけなのにハシャぎす……｣

｢あー！｣

｢は？｣

息を整えなが文句を言いかけたが、千鶴の叫び声に遮られた。

夜流が辿り着いてからすぐに視線を反らし、話を聞いていなかったらしい。