『お兄ちゃん…起きて…起きてよ…目を覚ましてよ』

萊気 (美幸?)
気が付き目を覚ませば知らない天井と部屋とベッドに横たわる萊気を心配そうに見つめる美幸の姿

美幸「お兄ちゃん!…良かった…良かった無事目を覚まして……」

そして……

??「すまなかったな…」

萊気 (!この人……この人が声の主?)
綺麗な長髪の金髪の…少女…いや少年がそこに腕を組みながら立っていた

??「本当は君の弟妹?も助けてあげたかったんだけど君の状況や彼女(美幸)の安全性を考えたところこれしか思い浮かばなかった」

萊気 (そうだ…俺……)
起き上がろうとしたら身体は重くそしてとにかく”首“が痛かった

??「!!…こら!起き上がろうとするな!」
少年は萊気をもう一度ベッドに寝かせれば美幸が顔を俯かせ今にも泣きそうな声で

美幸「お兄ちゃんごめん…私足でまといだったよね……」
と呟きぎゅっと手をにぎりしめる

萊気「!…美幸………」
萊気は手を伸ばし美幸の頬を撫で
「美幸は気にしなくて良いよ俺の力不足でもあったし守るって…言ったのに……俺こそごめんな?」
萊気がそう言うと美幸はふるふると首を振って

美幸「そんな事ないよ……お兄ちゃんこそ気にしないで」
涙を堪えて必死に笑顔を作り

??「…………」
きまり悪そうに少年は萊気と美幸の方を見ているとこほん!と咳払いをし
「あの……良いところ申し訳ないけどこちらとしても話しておきたいんだけど」

萊気「あっ…すまないそれで……あなたは?」
萊気が少年の方を改めて見れば美幸も少年の方を向き

美幸「お兄ちゃんこの人が船晴…船晴伊万里さん……吸血鬼化社会を生み出したご両親の息子さんなんだって……」

伊万里「とまぁ彼女にはそう伝えてるね」

萊気 その話を聞き萊気は驚いた表情を見せ
「あなたが?あの本を書いた人?」
伊万里のことをまじまじと見る

伊万里「ちょ…そんなに見ないでよ」
困った表情をし頬をかけば真剣な表情をし
「話は戻るけど君たちあそこ(チャールズ)に戻るの?」

萊気「!!」
美幸の顔を一瞬ちらっと見てから
「俺は戻る……残してきてしまった2人を助けに行かなきゃ…」

美幸「お兄ちゃん?そんなの私も…!」
美幸がこの後を言うのを阻止するように伊万里が口を挟み

伊万里「と!言うと思った…ダメだよ戻ったら」
萊気に釘を刺すように睨みつけながら言い

萊気「何で…!」

伊万里「何で?…それは簡単だよ君が戻ったとしてこちらにまた戻ってくれる保証はないきっとあっちはより強度な設備に変えているに決まってる」

萊気「なら!なら秋侑と乙春はどうなっても良いって言うのか!?」
萊気が大声でそう怒鳴り声を上げると伊万里はハァッと溜息をつき

伊万里「別に俺そうだとは言ってないでしょそれに奴ら弟妹くんに危害はくわえないと思うよ」

萊気「何故そう言いきれる」
逆に萊気が伊万里の方を睨みつければ

伊万里「君さあいつらのお気に入りだったんでしょ?昨日見てて思ったよ…奴らの行動や君の能力を見る限り……それならさ君を失った奴らには君と同じ血を持つ彼らの才を頼りにする…それと共にどうせ弟妹くんは今回の脱出のこと何も知らないんでしょ?」
ニコッと笑いズバリ2人の現状…真実を言い当て
「それなら危害はくわえないよ」

萊気「じゃあ…質問を変える……何でそこまで俺達に協力的なんだ?伊万里さん…その……政府関係者であの人達の仲間なんじゃ……」
表情を少しゆるめるが警戒はして

伊万里「何で……か……俺も……政府を”恨んでるから“……だよ」

美幸「伊万里さんも?」

伊万里「あれ?君たちは恨んでない?」
自分の予想が外れたかと少し焦るがそのまま話を進め
「俺は恨んでるよ…政府…と言うより特定を人物を言うならば父さんと母さんを殺した院長のこと」

萊気「それって…作中に出てきてた………」
こくりと伊万里は頷き

伊万里「そう…まぁ…あんな化け物を利用されてたとはいえ生んで逃げた父さんと母さんのことも恨んでるけど……」

美幸「?」
美幸が首を傾げて
「どうしてそれが恨みの感情に?」

伊万里「あ…それは……俺の兄貴が………」
そこまで言うと口を閉じてしまう

萊気「………」
そこまで話を聞くと怒りの感情はとっくに静まっており冷静さを取り戻しては
「伊万里さん…………伊万里さんの言う通り俺たちも政府を恨んでます俺はともかく美幸や秋侑、乙春…それに多くの子供達を自分達の利益のために身体をいじっては苦しませ痛い思いまでさせて…挙句の果てには多くの子達を殺して……許せなかった……その真実を知ってからは」

伊万里 ここまでは予想通りとでもような自信に満ちた笑みを浮かべながら
「じゃあさ今度はこっちが質問するけど…吸血鬼のことは…どう思ってるの?」

萊気「?…吸血鬼のことを?」

伊万里「そう…彼らは元々人間なんだ……彼らを人間に戻す方法を俺が知ってるって言ったら…助ける?それとも君は吸血鬼をも恨んでる?」

萊気「………………」
その言葉の返事に萊気が少し迷っていると美幸は心配そうに萊気のことを見つめる

伊万里「どうなのかな?」

萊気 萊気は真剣な眼差しを伊万里に向け
「俺は……吸血鬼には罪がないと感じている突如発生してしまったなんて言われているけど実際は科学的に間違って作られ巻き込まれてしまった人々だったんだ今の能力開発のように……」
ギュッとベッドのシーツを掴み
「だから……俺は彼らを救える術…人間に戻すことが出来るのなら戻してあげたい…!救ってあげたい…!!」

伊万里「因みに妹ちゃんは?」
美幸の方を見て訪ね

美幸「!…私も……それが出来るなら救ってあげたい」

伊万里 2人のその返事を聞けば待ってました!とでも言うような明るい表情を見せて
「良かった君たち2人を助けて」
再び真剣な表情に戻し伊万里は2人に深く頭を下げ
「なら!俺と共にこの吸血鬼化社会を止めるため戦ってはくれませんか!!」

萊気 そんな伊万里の行動に萊気は目をまん丸くさせ
「…………良いよ………けど……条件がある」

伊万里 ゆっくりと顔を上げ
「条件?」

萊気 萊気は頷き
「まず1つ美幸はそこには加えることは出来ない」

美幸「お兄ちゃん!?」

萊気「もう1つは……必ず…今は無理でも協力する代わり秋侑と乙春を助けるための手助けをしてそれが条件……」

美幸「お兄ちゃん何言ってるの!?私だって…!!……!」
この先は言えなかった萊気の何処か思い詰めるような表情を見てしまっては

伊万里「分かった…それは保証する」

こうして萊気は伊万里と共に吸血鬼を人間に戻すべくために協力することになった

彼が言うには吸血鬼を人間に戻した暁には秋侑と乙春だけでなく他のチャールズの子達も解放するとのこと

萊気は完全に伊万里のことを信用しきった訳では無いが彼の言葉がただ萊気にとっては偽りを言っているようには感じなかった






その日の夜美幸が眠ってから
伊万里は萊気がいる部屋へとやって来た

伊万里「それで……俺は名前教えたけど君からは教えて貰ってなかったよね?」

萊気「あ…萊気…夢ヶ崎萊気だ…そして妹は美幸…」

伊万里「萊気と…美幸ね……」
伊万里は今にでも消えてしまいそうな柔らかな笑みを浮かべて
「ありがとね…萊気…俺の……」










”わがままを聞いてくれて“