Looks for memory 裏世界吸血鬼編

あれから4ヶ月後

萊気「ここから抜け出そう」
突如弟、妹達の前でそう萊気は言った

乙春「どうして?」

秋侑「そうだよ萊気にぃ」
一番下二人がこういうのも当然だなぜなら萊気はまだこの2人には事情を話せていなかった
話して恐怖や嫌悪感に浸ってほしくないという気持ちが強かったからである

萊気「あ…ぬ…抜け出すというか抜けれるというか……」
二人はより何故か分からなく首を傾げては萊気に理由を聞く
すると今度は美幸が口を開いた

美幸「実家に帰れることになったの!もう痛い思いしなくて良いんだって!」

秋侑「それ本当なのみゆねぇ?」
秋侑が美幸に尋ねると美幸がこくりと頷く
さすれば2人ともパァっと嬉しそうに笑い

乙春「やったー!…やったぁぁ!!」

萊気 そんな2人の様子を見て萊気もほっとし美幸の方を見れば小声で
「ありがとう美幸…助かった」

美幸 同じく小声でニコッと笑い
「どういたしましてお兄ちゃん」

萊気「よし!じゃあ2人とも支度しておいで」
秋侑と乙春に言うと2人は元気よく自室へと向かっていった

美幸「ちょっと騙す形になっちゃったけど根本的には間違ってないもんね?」
美幸は萊気の方を見て苦笑する

萊気「あぁ…こうでも言わないときっと2人とも納得はしてくれなかっただろうし良い理由が見つからなかった」
ぎゅっと手を握りしめ
「守らないと……ここにいては危険だ」
この実験場にいて1度不可解なことを聞いたことがあったから尚更この真実を知って強く思うようになった
『早く我々を守ってくれる強い”兵器“を生み出さなくては』
(兵器……か……あの吸血鬼もそう言えば兵器だと言っていた間違った兵器…それが吸血鬼だったとしてまた…か…本当にこの人達は…)

美幸 美幸は酷くしかめた表情をした萊気を心配そうに見つめ強く握りしめられた手の上に自分の手を置き
「大丈夫だよお兄ちゃん…そこまで心配しなくても私たちねお兄ちゃんが思っているよりも弱くないんだから…!今までここの人達に利用されてたとしてもそれが分かったとしてもこの力が無意味だとかいらないとか気持ち悪いだなんて思ったりもしてないむしろこんな私でも何かを成し遂げられるんだって…そう思って……」
そんなこんな話しているうちに美幸の目からは涙が零れ落ちていた

萊気 萊気は美幸をそっと抱きしめ
「ごめん…俺が元気無かったら美幸だけでなく秋侑や乙春も不安にさせてしまうよな」
そう言い美幸を安心させるように背中を優しく撫でたすると美幸は今日まで我慢していた分涙を流した
(無理させてごめん巻き込んでごめん…俺が3人とも守ってあげるから)















萊気「準備出来たな?」
夜…決行の時が来た
萊気は小声で3人に言うと3人ともこくりと頷く

乙春「夜に出るなんて何だか悪いことしてるみたい」
乙春は悪気なくそう言ったが実際ここの関係者からすれば萊気達は今からその悪いことをしようとしているのだ

萊気「それじゃあ…行くか…ちゃんと俺の後を着いてくるんだぞ?」
そのように伝えればいざここからの”脱出“に向けて動き出す
(一応ここのセキュリティは大体把握しているつもりだけど…安全な道をなるべく通ろうと心がけても最後の”門“だけは……)
萊気が言うようそれ以外のセキュリティシステムではこれと言った問題点はなく通り過ぎ通過することが可能だった
何より警戒心配していたのはその門…

美幸「思っていたよりもずっとか大きかったのね……」
門を目の前にしてぽつりと美幸は呟く
この門は能力を持つ者を強制的に能力暴走させるようにセキュリティが働いている
酷ければそのまま自分の能力に自分自身が殺される

萊気 ゴクリと喉をならし弟、妹達には門から少し離れるように言う
(だが…俺の能力なら……)
萊気は自分の右手をみてそこから電気がバチバチっと出るのを確認すると地面に右手をつけ目は赤色に光り頬には月のマークが浮かび上がって
「合成魔法!!」
この4ヶ月間練習してきた能力を今発揮する
萊気は自身の分解能力と電気能力を合成させシステムを意図も簡単に破壊したのだ

美幸「凄い……」
無意識にそう呟いており萊気の方を見る

乙春「これで出られるの?」
乙春は美幸の方を見て首を傾げる

美幸「あ…!うん!そうだよ!!」
美幸は乙春にニコッと笑いかけ秋侑と乙春2人の手を繋ぎ萊気の元へと行こうとしたその時

研究員「貴方たち!何をしているの!!」
後ろから研究員の怒鳴り声が聞こえた
あの時吸血鬼を殺した研究員だ

秋侑「え?…え?…何って僕達は家に…」
てっきり許可を得て来ていると思っていた下2人は何故怒られているのか理解出来ず混乱して

萊気「っ!!…美幸!2人を連れて今すぐこの門をくぐって逃げろ!!」
すぐに萊気は戦闘態勢に入り研究員に反抗行為を見せるさすれば研究員は機嫌をより悪くしたのか何かのボタンを押すするとぞろぞろと萊気達を囲むように他のチャールズの子達が現れ

研究員「逃がさないわよ!彼らを捕らえなさい!!」
研究員の女性はそう言うと一斉にチャールズの子達は萊気達に攻撃を繰り出そうとして

美幸「お兄ちゃんどうしよ…これじゃあ」
下2人を守るように自分の傍に寄せ

萊気「大丈夫だ!何も気にせずそのまま出口へと走れ!!」
彼らが攻撃をしてくると萊気は引き続き能力を使い彼らの周りに守護能力で壁を作り塞ぎ塞ぎきれなかったものは先程の合成能力で消滅させる

研究員「チッ!!」
(これほどの威力を持っていたとは…こちらとしては誇らしくもあるけど今では厄介ね)
そう感じ考えていると研究員の視線は萊気の弟、妹達の方を向いた
(そうだわ!!)
ニタァっと研究員が不気味な笑みを浮かべればチャールズの子達に美幸達を狙うように命令する
すると萊気へと狙うのを辞め集中的に美幸達を攻撃し始め3人に向けてレーザー光が解き放たれた

萊気「なっ!美幸!秋侑!乙春ー!!」
萊気は3人を守るため身体能力をより上げスピードを上げ3人の元へと向かい
(間に合え!間に合え!間に合え!!!!)
必死に手を伸ばし庇おうとしたその時
『伏せて』
萊気の脳内に誰かの”声“が聞こえた
「!!…3人とも伏せろ!!」

美幸「え!?」

萊気 混乱した3人を萊気はドンっと勢いよく押し自分も伏せると何処からか風の斬撃が飛んできてレーザーが撃たれる向きが変わるが
(浅い!!)
美幸の方に微かに当たってしまうと感じた萊気は美幸を自分の方に寄せ避ける

研究員「!?外部からの攻撃?」
風の斬撃は次々と来てチャールズの子達を攻撃する”死なない程度で“

萊気「く……大丈夫か?美幸?」
まだ不慣れな能力の使いすぎで今にも倒れそうだったが意識をしっかり保とうとし美幸に安否の確認をすれば美幸は焦った表情で秋侑と乙春の方を見て

美幸「どうしよ…お兄ちゃん……”崖“が」

萊気「!?…何!?」
その言葉に意識が覚醒しバッと美幸と同様秋侑と乙春の方を見ると確かに2人と萊気達の間には大きな崖が出来ていた
(何で……ってそうか!さっきの攻撃で!!)

秋侑「萊気にぃ!みゆねぇ!!」

乙春「どうしたら良いの…」

萊気「大丈夫!今そっちに行くから…!」
今にも泣きそうな2人の元へと立ち上がればグラッと身体がよろけ

美幸「お兄ちゃん!!」
倒れそうな萊気を支えて

萊気 (クソっ!意識は戻ったのは良いけど身体はもう……)
『逃げろ』
また脳内に声が響く
「逃げろって…そんなこと出来るわけ」
繰り返し『逃げろ』と言われる
(っ!……一体誰が……)
萊気が頭を抑えると美幸は心配そうに

美幸「お兄ちゃん大丈夫?」

萊気「あ…あぁ…」
(しかし……今の状況を見る限り2人を助けに戻ればそれこそ危険だまず美幸を安全なところに……)

??「甘い考えは捨てるんだな」
先程までの声がふと近くに感じた

萊気「!!誰っ…」
そこで俺の意識が突如……………

途切れた────