2216年×月××日
迷い子育成機関『チャールズ』

萊気「と…言うようにこの日から人々は恐怖の毎日を送ることになったのです」
パタンと本を閉じた少年は兄弟であろう3人の方を見て

乙春「萊気お兄ちゃん怖い……本当にそれが原因なの?」
身体を震わせ涙目で少年萊気に言い続くように他兄弟も

秋侑「萊気にぃその研究員の人達はその後どうなったの?」

美幸「これって実話?」
と言うように萊気に質問攻めをして
そんな兄弟…家族を見ては萊気はクスリと笑い

萊気「違うよこれは実際の話じゃない…作り話さ!じゃなきゃ今俺たちがこうしてここにいるのもただ利用されているに過ぎなくなるじゃないか!そんなの嫌だし何よりムカつくだろ?」
ニコッと笑い涙目になっている一番下の妹の乙春の頭を撫で

秋侑「た…確かに……萊気にぃの言う通りもしそうだったら気分悪い…」
そう言う事になるのもまさにここは“突如”この世界に現れた吸血鬼を殺すために必要な能力者開発施設…実験場でもあるからである
人間が今持ち得る能力を超人へと進化させるにはそれはそれは大変膨大な力と体力が必要となるそのためその膨大な力に耐えきれなかった者は何人かいて死を遂げている者も少なからずいた

美幸「私達毎日痛い思いをしてこの世界のために頑張ってるんだもんね………」

萊気「そうだ………」
そんなこんな話していると施設内にチャイムが鳴り響いて
「おっと…自由時間はここまでだな……さ!3人とも今から能力調整だっただろ?行っておいで」
少し寂しく悲しげな表情をしてから言い3人は「分かった」と頷けばそれぞれの実験場へと向かい
「……………」
(本当は今でも俺は腹立たしくて仕方がないんだけどな……これも全て…不思議とこの世界に舞い降りた吸血鬼のせい……そのせいで俺の両親も俺たちの側からは消え弟妹達も酷い目に……)
グッと手は強く握り締め唇は血が出るほど噛み

??「お前……美味そうな血を流すなクヒヒ」

萊気「!?」
バッと声がする方を向くとそこには先程まで話をしていた“吸血鬼“がいた
(何でこの施設内に吸血鬼が!?研究員の人達はこのことを知っているのか!?)

吸血鬼「なぁ…お前の血…俺にくれよ!!!」
そう言うと吸血鬼はいきなり物凄い速さで接近し飛びかかりに来て

萊気 最初驚き戸惑っていた脳も身体もすぐに冷静さを取り戻し
(はは…良い機会じゃないか今ちょうどお前ら吸血鬼が憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて!!今すぐ!殺したくて仕方がなかった所だったんだ!!)
手を前に出し飛びかかりにきた吸血鬼の腕を掴めば最近習得したその能力で”分解“した

吸血鬼「なっ!…うっ…腕が!!」
腕が瞬時に失った事に驚いた吸血鬼は一旦萊気から距離をとり
「お…お前!お前!!俺に…何をした!!」

萊気「何って…能力でお前の腕を分解した」
既に自分にここまでの力が宿っていることに感心すれば吸血鬼に言い

吸血鬼「能力!?クソ……人間は”また“間違った兵器を生み出そうとしているのか……」
最後の方をボソッと吸血鬼が言うと耳が人よりも良い萊気はピクっとその言葉に反応し

萊気「?……また…ってどういう事だ」
吸血鬼にそう問えば吸血鬼はギロっと萊気を睨みつけ

吸血鬼「チッ!聞こえてたのかよ…それにまぁ人間は自分達がした事も忘れてるのかどんだけ身勝手な奴らだ」
萊気から目を逸らしてそのように言い放つと萊気はその言葉がやはり気がかりで仕方がなく能力で身体能力を上げ吸血鬼の懐まで瞬時に移動しては蹴りをくらわし踏みつけ

萊気「お前…何か知っているのか!間違った兵器ってどういう事だ!人間がしたことって何だ!!」

吸血鬼 先程萊気から食らった攻撃が余程効いたのか口から血を吐き
「ハハ……ハハハハ!!!本当にお前らは身勝手だ!!」
先程よりも強く睨みつけて
「俺たち吸血鬼を生み出したのはお前ら…人間のくせに!!」

萊気「な……」
その言葉を聞き萊気の思考は一時的に停止した
(人間が…生み出した?……吸血鬼を??……)
無意識に吸血鬼を踏みつけていた足は退け後ろに一歩下がり自身の修復能力で吸血鬼の傷を治し

吸血鬼「!!」
(傷が治った?へ!今襲っちまえばこっちのも……)
吸血鬼が狼狽えている萊気を今がチャンスとでも言うように襲いにかかろうとすればそこに銃声が鳴り響きその銃弾は吸血鬼の脳天を射抜いており吸血鬼はその場に倒れる

研究員「ふぅ……危機一髪って…所ね」
魔武器である銃機を持った研究員の女性が萊気の側まで来るとハッ!と萊気は我に返り

萊気「吸血鬼は………」
チラッと研究員の後ろを見るとそこには吸血鬼の死体があって

研究員「貴方が死なれると困るのよこちらとしても一番良い結果を出せているし」
研究員は萊気に怪我がないか一通り確認して

萊気「あ…あの……」
萊気は恐る恐る研究員の顔を見て

研究員「?(首を傾げ)どうしたの?」

萊気「吸血鬼を生み出したのが人間って…本当なんですか?」

研究員「!!」
その言葉に少し動揺するがすぐにいつもの調子に戻し
「バカね…そんなわけないじゃないあの吸血鬼に変なこと吹き込まれたの?」
萊気の頭を優しく撫でそう誤魔化すが萊気は見逃さなかった彼女の”動揺“を…

萊気 (やっぱり…施設側が何か隠している……吸血鬼の言うことが全て本当の事なら”あの本“に書いてあったことが真実?)
ここは深く聞かない方が良いと判断した萊気は今はその研究員に問いただす事はやめた















萊気 自室に戻った萊気は先程の本を眺めていた
(作者……”船晴伊万里“……って作中に出てきた人と同じ苗字!!ひょっとして夫の方?名前出てきてなかったし)
ペラペラと弟と妹に読み聞かせていた部分をもう一度確認し
(船晴…船晴か……1度調べてみよう)
するとバタバタとこちらに走ってくる音が聞こえてバン!と勢いよく扉が開き

美幸「お兄ちゃん大丈夫なの!?」
実験室からここまで走ってきたのだろう息を荒くして顔を青ざめた長女の美幸がたっていた
きっと先程の研究員から事情を聞いたのだろう

萊気「あぁ平気だこのとおり!」
元気な姿を美幸に見せると美幸は心の底から安心したようにほっと息をつきその場に崩れ落ちる

美幸「良かった……無事で………」

萊気 萊気は本を持ったまま美幸の傍に行きしゃがめば優しく頭を撫で
「なぁ美幸…政府の者に船晴と言う人がいるの知っているか?」
萊気がその事を聞くと美幸はバッと顔を上げ

美幸「ねぇその話やっぱり実話なの?」
ふとそんな事を萊気に言った

萊気「やっぱりって………」
美幸は萊気の手をギュッと握れば

美幸「あのね!あのねお兄ちゃん!私船晴っていう人知っているの!!」