猫は気まぐれである。


普段は外で自由にしていて
気まぐれで家に帰ってくる。


甘えたい時は甘えてきて
基本はツンツンしている。



そして、よく寝る。

起きない。



「タマ起きて!!」


『俺は猫じゃない!寝かせろ!』


「寝かせないっ!もうお昼になっちゃうよー」



『じゃあ、名前で呼べ』



「はいはい。葵起きて」


『キスは?』


「しょうがないなー」



これは私の彼氏。通称猫系彼氏。



いつもはツンツンしてるくせに
急にデレる。


そのギャップがたまらなく好き。


気まぐれな猫だから付き合うのが大変だけど、
私はこの猫が好きで好きで仕方ない。


今日はお互い休みでデートをする。



のはずがもうお昼。


こんな生活にも慣れた。


こっちの方がいい気もする。



休みの日に早起きして予定をバリバリ立てるより、

のんびり起きてのんびり過ごすのも悪くない。



私は基本テキパキタイプ。

葵のペースに合わせているうちに私ものんびりできるようになった。


ある意味感謝だ。



息抜きって大事よね。(笑)



そんな事はさておき、出かける準備をしなきゃ!



葵はやっと起きた。


それにしてもひどい寝癖。



葵の寝癖はいつ見ても笑ってしまう。



例えるなら実験に失敗した博士。




「葵今日も絶好調だね」


『うるせえ』


「寝相悪くないのにどうやったらこうなるんだろうね!ほんと不思議」


『帽子被れば何とかなるだろ』



「何とかしてね!(笑)」



そんな会話をしながらメイクをする。



葵に可愛いって思ってもらいたくて
日々研究をしている。


でも葵はあんまり濃くない方がいいよ。
スッピンも好きだしっていう。


嬉しいけどメイク頑張ってるんだから褒めてほしい。



髪を巻こうとすると、葵の手が伸びる。



「え?巻いてくれるの?」



『ん』



「やばい!嬉しい!葵に巻いてもらうの憧れだったんだよねー!」


『いいから黙っとけ』



葵はこう見えて美容師だ。



流行りの巻き方をしてくれる。


それにしてもかっこいいな葵。


ドキドキする瞬間。



ヘアオイルもつけてくれて完成。



女の子って単純だから
髪が上手く巻けてるだけでテンションが上がる。



いつもより可愛く見える。


『可愛いじゃん』


「本当だ。ありがとう葵!」


『調子乗んな、バカ』


「行こう!葵!」



葵は煙草に火をつける。


晴れた匂いと煙草の匂い。


気持ちのいい日。


葵とランチに出かける。



何をするでもないけれど
隣に葵がいて
こうやって当たり前のように過ごせる


これが私の幸せ。


葵の隣を歩く。


葵は私の二の腕をつまむ。

これが葵の癖。


嫌いじゃない。むしろ好き。




助手席に乗せてもらえることも

一緒に大きな口を開けて
美味しい美味しい言いながらご飯を食べれることも


全部奇跡だと思う。




葵が私を好きになってくれた。



奇跡だと思う。