シンデレラと総長様

「忘れたなら、事務室で借りなさい!」


「はーい…」


あの金髪男のフルネームも、クラスも知らないし
とりあえず今日は事務室でブレザーを借りるか…


その時、桜の花びらが私の肩に舞い落ちた。


「相川美桜ちゃんー」


えっ、この声ってまさか…


「君だよ、君!美桜ちゃんー!」


「げっ、金髪男っ!?」


「ひどいー、俺ってばそんなふうに覚えられてたのー?」


こいつがいるってことはまさか…


「おい、アホ女。」


出たー!?アンハッピーセット!?もう、会いたくなかったのに!なんで、この人とまた会うことになるわけ!?


「翔、美桜ちゃんに失礼だよ。」


「こいつはアホ女で十分。」


そんなわけないでしょ!?今だけは金髪男に同意する!っていうか、今、この男私の名前を呼んだよね…


終わった。なぜ、私が追いかけられているか全くもってわからないけど、私の人生終わった。


「アホ女、お前、さっき俺の顔見ただろ?」


「いいえ。そんな見るわけないじゃないですかー、ハハッ…」


顔見られた位で何なのよ!そんなに見られたくないなら、最初から顔面マスクでもかぶってろっつーの!


「いや、見たな。」


「見てないですー!」


「いや、見た。」


「見てないって言ってるでしょうがー!」


あっ、ムカついて、つい、顔をあげちゃった。
これじゃ否定のしようがないじゃん!はぁ…


「翔、そこまでー!」


「チッ、」


今日はとことん運がついてないのか…
自分が知らないうちに名前を知られ、しまいにはアホ女って何なのよ。