綾瀬くんは私が大嫌い






「おーい、次体育だよ」
 


夏帆の声で飛び起きる。
昼休み、しばらく机に突っ伏していたので前髪があっちこっちに飛び散っていた。


「えっ、忘れてたんだけど。」

前髪を直しながら寝ぼけ眼かつ焦った顔を向けると夏帆が嫌そうな顔をしながらいう。

がらんとした教室に彼女の声が響く。

「シャトルランだよ」

「うわっ、そうだった」

「半袖短パンで来いってさ」

小学生かよ、と夏帆が小さくつぶやいた。その横で静かに真っ青になる私。脳裏によぎる昨日の出来事と買い忘れたもの。


「あ、どうしよ」


「え?なに?」


「ごめん夏帆、ちょっと今日体育休む。めんどくさくなったから保健室行く。」 



「えぇ、村松めっちゃ怒るよ、大丈夫そう?」


体育教師の名前を出して苦虫を潰したよな顔をする。


「うん、村松には今から言いに行くわ。」

「単位落とされるかもよ」

「うん」


仕方ない。

夏帆が体育館に行くのを見送った後職員室の方へ向かった。