目から溢れ出した滴が頬から顎にかけて伝ってゆき、着ていた服に音を出して落ちた。
それはじんわり、ゆっくり滲んで消えてゆくけれど、次から次へと落ちてくる。

「お前、本当に………本当にっ。」


息を途切れ途切れにさせ言葉を出そうと必死になる本人は、私に何度も何度も「頼むから」と連呼する。けれども話の内容の確信にはつかないので私は口を開こうとしなかった。

何かを乞うて私に向け泣く彼を、ただぼうっと眺めた。街灯に照らされて私の網膜に反射した涙を追いかけて眺めていた。

自分に向けられた感情に、なんとも思えなくて、でも他に考えていることなんてなく。



苦しそうに感情を捻り出した声は、言葉の意味とはかけ離れたものだった。



「お前、の事、大嫌いなんだよ………」



彼はまだ泣く。

乞うているが、私に触ることもなく。
 
そして続ける。


「だか、ら。やめてくれ、もう俺に関わらないで、くれ」



あぁ。