「ほら。最後のひと塗り」
和哉は一生けん命に作業をした莉緒に達成感を味あわせたくて、最後のひと塗りを莉緒に託した。
「はい」
莉緒はいきいきとペンキを塗る。

その頬にはペンキがついている。
結局、莉緒はいつの間にかヒールを脱いで裸足で作業をしていた。
なりふりかまわず作業をしている莉緒を和哉は見ていた。

「できました!」
満面の笑顔で後ろに立っている和哉を見た莉緒。
「おつかれ!」
和哉もつられて笑顔になる。

莉緒の笑顔を朝陽が照らし、かなりまぶしかった。


「あー疲れた!」
和哉が店の床に大の字に寝転ぶ。
「市橋もやってみろよ」
その言葉に莉緒は少しためらってから、和哉の隣に横になった。
「・・・あー!気持ちいい!」
そう言って大きく伸びをする莉緒に和哉が笑う。