翌朝早くに出発する和哉。
準備のためと早く帰ったが、思えば莉緒よりも先に和哉が帰宅することははじめてだった。
いつも、自分の課の社員が帰ってから帰宅する和哉。

そういう姿勢も和哉が部下から好かれる要素だった。

莉緒は和哉が帰ってからも仕事に追われていた。
掛け持ちしているイベントの資料作りや、参加している企画チームの進捗状況の確認、新しいマーケティングの情報まとめ・・・。
なかなかなくならない仕事に、莉緒はうんざりしながらも、和哉のいない期間も頑張りたいと意気込んでいる。
「先輩、そろそろ帰ったほうがいいっすよ。」
「うん」
「古屋君は先に帰って」
「いえ!俺部長から先輩のサポート頼まれてるんで帰りません。」
「いいから。それは来週からお願いするから。」
「だめっす!」
古屋も意気込んでいるのは同じようだった。