「でも私、本当は甘いコーヒーも好きなんです。」
「・・・そっか」
「はい。パフェもクレープも大好きなんです。」
「知らなかった」
ふと力の抜けた微笑みを見せる高辻に莉緒は微笑む。
「本当の自分を隠してでも、私は部長の近くにいたかった。」
過去形の言い方に、高辻が少しうつむく。

「部長。」
「ん?」
「私、部長が大好きでした。」
「・・・」
まっすぐな莉緒の目に、高辻は一度そらした視線をもう一度戻した。
「でも、もう私の気持ちは部長にはありません」
「・・・そっか」
いざ言われると心が痛むと高辻はゆがみそうになる表情を必死に隠した。

「真君の涙、痛かったなー」
無理に明るく言う莉緒に、高辻の平静を保っていた表情が崩れる。