何があったのかは聞かない和哉。
なのに・・・

「頑張ったな。よく頑張ったな。」
と莉緒の頭を撫でる大きな手。

和哉のぬくもりに莉緒は再び涙があふれてとまらなくなった。

しばらくして、和哉は莉緒から体を離して、莉緒が握りしめていた自分のウインドブレーカーを手にした。そして、莉緒の背中にウインドブレーカーを羽織らせて、ジッパーを首までしっかりとあげた。

「役にたっただろ?」
そう言って優しく微笑む和哉に莉緒は涙を流しながら頷いた。
「役にたちすぎです・・・。」
ぎこちなく笑う莉緒に、和哉は愛おしさがこみ上げて再び強く抱きしめずにはいられなかった。