そう言った父さんに笑顔のまま返す。
「ああ。俺が笑えるようになったのは、今も昔も凛愛のおかげ」
「……そうか。大事にしてやりなさい」
一瞬、不思議そうな顔をしたけど、すぐに口角を上げて柔らかく笑った父さん。
俺も、父さんの笑った顔なんて見るの何年ぶりだろうか。
俺ら、案外似た者同士なのかも。
「あらあら、2人が笑ってるなんて貴重なシーンね」
父さんの後ろで今まで黙っていた母さんも、俺ら2人が笑っているのを珍しそうに見て、いつものような優しい笑みを浮かべた。
3人で声を出して笑ったあと、じゃあと言って仕事に向かった父さん達を見送って家の中に戻る。
