それを聞いて思わず脱力する。



「なんだ……」



ポツリと呟いたその言葉が父さんの耳は拾ったらしい。



「なんだとは、なんだ」



少しおかしい言い回しに頬が緩む。



「父さんはてっきり、会社のためを優先に動いてて、俺の事なんて考えてないと思ってた」




そう告げたら、心外だというように目を見開いた父さん。



「何言っている。会社も大事だが、息子のお前が大事じゃないわけないだろう」



なんだ。



結局、凛愛の言う通り俺と父さんはすれ違ってただけなんだな。



「怜哉の笑った顔なんて久しぶりに見たな」