怜哉の吐息がかかって、思わず耳を押さえる。
「ちょっと……!」
口角を上げて意地悪く笑った怜哉は、全く悪びれた様子はない。
怜哉の色んな表情が見れて嬉しい反面、私だけがいつも余裕が無いのが悔しい。
────コンコン
「なんだ」
「失礼します。社長がお帰りになりました」
私たちが着いてから約1時間くらい。
いよいよだって思ったら、怜哉と話してて忘れていた緊張が戻ってきた。
「父さんはどこに?」
「書斎でお待ちです」
「わかった。凛愛行くぞ」
怜哉の言葉に頷いて立ち上がる。
あまりにも緊張しすぎて震えそうだけど、落ち着けと自分に言い聞かせる。
