話があるからおいで。
そう言われて連れてこられたのは、久しぶりに入る怜哉の部屋。
まだ少し緊張するけど、お邪魔します、と小さく呟いて足を踏み入れる。
「麦茶でいい?」
「なんでもいいよ。おかまいなく」
いつかの日と同じような会話に、小さく笑みが漏れる。
「はい」
「ありがとう」
麦茶の入ったコップを受け取って、怜哉は私の隣に座る。
「単刀直入に言うけど、昨日父さんから電話があって……」
すぐ始まった本題に、思わず身構える。
次の言葉を聞いて、私の体はより一層強ばった。
「婚約の話、するから次の週末帰ってきなさいって」
