君の笑顔が見たいから


────唐突に響いた低い声。



確かこの声は聞き覚えがある。


あのとき────入学式の日の朝、私をナンパしていたチャラ男にかけられた声だ。


「っ……怜哉」


「怜哉様!?」



「なにしてんのって聞いてんの」


これまたあのとき同様、鋭い目付きでお嬢様を睨む怜哉。


「いえっ、あの、これは違うんです」



さっきの威勢はどこに行ったのやら。


急にしおらしい態度になるお嬢様方。