君の笑顔が見たいから


なんで忘れてしまったんだろうか。




私は幼い怜哉にパーティーで会ったその後、ずっとあの笑顔が脳裏に焼き付いて離れなかったのに。



どうして、今言われるまで思い出せなかったんだろう。




怜哉にどれだけ辛い想いをさせてしまったのか。




「凛愛。たぶんだけど凛愛は俺と出会ったあの日のあと、辛い出来事ばかり経験してた。だからそのショックもあって、忘れてたんだと思う。だから凛愛が苦しむことはなにもない」



そう言って頭を撫でる大きな手に、早まる鼓動を感じながら、もう一度引き寄せてくれた胸に顔をうずめた。



「待っててくれて、ありがとう」




小さくポツリと呟いたら、フッと笑う声が聞こえた。



顔を上げて微笑み返したら。



どちらからともなく、顔が近づいて。




────…唇が優しく重なった。