君の笑顔が見たいから


笑ってほしい、その一心で勢いよく喋ってニコッと笑った。



そしたら彼もつられたように、目を細めて笑ったんだ。




その綺麗な笑顔に不覚にも胸が高鳴ったのを思い出す。




「怜哉、だったんだね……」



思えば入学式の朝、怜哉に助けてもらって名前を聞いてお礼を言った私は。




『怜哉さん、ありがとうごさいました』



年上かも、そう思ってさん付けしたけど、苗字じゃなくて下の名前で呼んでいた。




彼の漆黒の瞳を見た時、初めて見た気がしなかったのは小さい頃、1度見ていたから。



なんで、忘れてたんだろう。