「少しだけ……俺の昔話に付き合って」
―――……昔話?
振られる、という予想の斜め上を行く怜哉の言葉に一瞬固まったけど、小さく頷く。
「俺、小さい頃から "次期社長" として育てられたんだ。誰も "俺" の事を認めてくれるんじゃなくて、"次期社長" っていう立場付きで見てくるっていうか……」
怜哉は幼い頃から、次期社長として育てられて、常に周りから見られているという意識を持たされて育てられてきたらしい。
お父さんもそんな怜哉に常に教育することが優先で、親子らしいことは何もしていないこと。
歳がずっと上の大人から頭を下げられて、媚びを売られて幼いながらにげんなりしていたこと。
