別に期待していたわけではないけど、少しだけガッカリした。 そのまま家に帰るのかなって思って。 結局伝えられなかったなって、明日柚希になんて言おうって考えながら怜哉の部屋の前に着く。 はあ、と零れそうになるため息を堪えながら、離されない腕を見て首を傾げる。 そのまま鍵を開けた怜哉はひと言。 「どうぞ」 そう言って、腕を離した。 少し固まって怜哉を見つめていたけど、部屋に入って、ということだと理解する。 「……お邪魔、します」