ハッと顔を上げる。
「自分の気持ちも伝えないまま、諦めるってできるの?それって結局自分が傷つかないように逃げてるだけじゃない?」
じっと私の目を見据えて、淡々とした口調で話した柚希の言葉がスっと胸の中に落ちてきた。
私は、自分で逃げないって決めたよね。
怜哉に振られて嫌われるのが怖い。
今まで通りが無くなることが怖い。
気まずい雰囲気になるのが嫌だ。
そう言い訳して、逃げてただけ。
―――……自分の傷つかない方に。
それって前となにも変わってない。
「……柚希、ありがとう」
「ううん。厳しく言ってごめんね。凛愛なら絶対大丈夫だよ」
