そのまま歩いていたら、とめどなく溢れてくる涙と空から降ってくる雨粒のどちらが顔を濡らしているのかわからなくなる。
高梨くんと怜哉の話し声が頭にこだまして、思考が支配される。
『…―――だってずっと好きなんだろ?』
『……ああ』
『でも今はそばにいてやる事が優先だけど』
覗いたドアの隙間から見えたのは、凄く大切なものを見る目で高梨くんの問いに答える、怜哉の顔だった。
気持ちを伝えるよりも、そばにいる方が優先ってことはそれだけその子の事を大事に想ってるってことで。
……わかってはいたけど、勝ち目なんてないんだな。
いつの間に、こんなに怜哉に惹かれていたんだろう。
