「……はあっ、はあっ」
思わず全力で走ってしまって、乱れた呼吸がなかなか整わない。
────ポツ、ポツ
落ち着かないまま外に出たら、青空を隠していた灰色の雲から雫が落ち始めて、ジャケットを羽織っていないワイシャツにシミを作っていく。
「傘、もってきてないや……」
そういえば、朝のニュースで秋雨前線の影響で雨が降りますってアナウンサーが言ってたっけ。
「……ま、いいか」
私の気持ちを投影したような空を見て、自嘲的な笑みを零す。
そのまま雨が降しきる中、走るでもなくゆっくり足を進める。
「うっ……うぅ…」
さっきの会話が頭から離れなくて、堪えていた涙が頬をつたう。
