淡々と話す2人の声と、前の高梨くんの話が重なる。
『怜哉のやつ、小さい頃から1人の女の子をずっと探してるんだよね。俺はその子に助けられたんだって』
そのずっと探していた "あの子" が見つかったのだろうか。
2人の会話からその結論に辿り着いた瞬間、胸がぎゅっと押し潰されるように苦しくなって、鼓動が早まる。
ふたこと聞いただけだけど、私にとっては充分すぎるくらい刺さってしまって、それ以上聞くことはできなかった。
目から溢れそうになるものを必死で堪えて、2人に気づかれないようにカバンを取って下まで走った。
