────コンコン 「入れ」 響いたノックの音に短く返事をする父の声を確認して、ドアを開けて書斎に入る。 「失礼します」 「久しぶりだな。どうだ、学校生活は」 「はい。特に問題もなく、通えています」 「そうか。今日は────見合いの話だ」 「……えっ?」 淡々と父と会話をしていたけれど、突然の話に驚いて、勢いよく顔をあげる。 「婚約の話が出ている。考えておきなさい」 「……すみません。婚約をするつもりはありません。有難いお話ですが断ってください」