そんな話をしているうちにアパートに着いた。 高梨くんがインターホンを押すのを待たず、怜哉の部屋を通り過ぎて自分の部屋に行く。 「じゃあ、高梨くん、また明日」 「うん。明日ね」 高梨くんと短い挨拶を交わして、ドアを開けて入る。 ……今は怜哉とあまり顔を合わせたくない。 怜哉は昔から一途に、その子の事を想って探し続けているんだろう。 私と怜哉は、入学式の朝が初対面だ。 確実に―――…私ではない、か。