「だからさ、さっきみたいなの少しトラウマになってて……」



そう言って、横で話を聞いてくれていた怜哉に苦笑を向ける。




こんなに重い話を聞かされて……怜哉にとっては迷惑なはずだ。




しかも、人に頼らないって決めたのに、結局弱い私は怜哉の優しさに甘えてしまっている。




「ごめんね。重い話しちゃって」



怜哉に謝った瞬間────…。



フワッと柑橘系の匂いが鼻をくすぐった。




「―――…え?」



怜哉に抱きしめられている、と理解するまでに数秒かかった。