………わかったかもしれない。
私があの人────怜哉のことが気になる理由。
あの "瞳" だ。
なにも見ていない。深い闇をそのまま放り込んだようなあの漆黒の瞳。
怜哉はあの瞳の裏に何かを抱えている。
そしてまるで誰かにそれを見つけてほしいと願っているかのような。
やっぱりあの人は私のように過去を抱えているのかもしれない。
あの瞳を見るのは久しぶりだ。
昔────1度だけ会った事のある "あの子" のようなあの目。
あの男の子に私はなんと声をかけただろうか。
……っ。
ズキっと一瞬頭が痛んだ。
頭痛薬を探して1錠口に放り込む。
怜哉の抱えている闇はなんだろうか。
ものすごく深いなにかを抱え込んでいるのではないだろうか。
決してひとりでは抱えることのできないなにかを────。
