学校が終わり、家に着いてシャワーを浴びて今日の夕飯の支度を始めようとしたとき。



────ピンポーン



家のインターホンが響いた。


え、こんな時間に誰?っていってもまだそんな遅い時間じゃないけど。


ただ私になんの用?って思っただけだ。


ドアを開けると向こう側に立っていたのは怜哉だった。



まあ、なんとなく予想はついていたけど。


このアパートに怜哉以外に知り合いなんていないしね。



「…」


ただいっこうに口を開こうとはしないこの人は一体なにをしに来たのだろう。



「あの…?」


いくら待っても喋りそうにないから私から話しかけることにした。


「……これ。」



差し出されたのはクッキーの詰め合わせ。


私に渡そうとしてるの?



「昨日のお菓子のお礼」


「え、いや、あれはよろしくって挨拶で渡したものだからお礼なんていいんだけど」


挨拶にお礼ってするものなの?


「もらったままだったら俺の気がすまないだけだから受け取って」


ん、と押し付けて帰ろうとしてしまったので慌てて引き止めて、ありがとうと一言だけ伝えると一瞬後ろを振り返ってそのまま部屋に戻ってしまった。