「…怜哉に、迷惑はかけられない。これは私自身の問題なの。ごめんなさい……でも、ありがとう」 そう小さな声で答えた彼女は、泣きそうに歪めていた顔を俺の方に向けた。 そして静かに、でも確実に。 ────────微笑んだ。 ああ、やっぱり。 今までずっと胸の中で滞っていた何かがスっとなくなった。 俺の期待が、確信に変わった。 そんな瞬間だった。