「いや、ただの俺の経験論。独り言だと思って聞いて」 「……」 無言を頷きと捉えた俺は、そのまま話を続ける。 「俺は誰かに頼らずに生きていくんだって、漠然とだけど小さい頃から思ってた。ずっと無愛想で他人に興味なんてなくて、まあ今もそんなに変わらないけど。今よりもっと酷かったんだ」 そこで1度、言葉を切る。 "あの子" の話を悠陽以外にするのは初めてだ。 「だけどある時、こんな俺を凄いねって認めてくれて、笑ってって、そう言ってくれた人がいて、その子の笑顔に救われたんだ」