君の笑顔が見たいから


そこで私はここに来た目的を思い出した。


「一昨日ここに引っ越してきたんです。よろしくお願いします。」


そう言ってお菓子を渡す。



何も言わず無言で受け取って目配せしてくる怜哉さん。


まるで "帰れ" と目で訴えられてるように見えた私は軽くお辞儀をして踵をかえす。



「お前、何年?」


「え、1年ですけど」


「なんだ同級生じゃん。敬語なんて使うなよ。それから────呼び捨てでいい」



引き止めた彼は、なにを思ったのかその無表情からは読み取れないけど呼び捨てを要求してきた。



呼び捨てにするのは別に構わないし、今まで年上かもと思ってたからさん付けをしてただけであって、特に抵抗があるわけでもない。



「ん、わかった」



そう短く返事をしたらドアが閉まった。