碧くて、淡い【完】



「俺も本、好きだよ」


真っ直ぐに絵梨の方を見る三河君は口調はいつも通り穏やかなのに、目の奥が静かに燃えているようだった。


絵梨が蛇に睨まれた蛙のような表情に変わっていった。


静かな怒気を纏う三河君を少し怖いとも思った。


「お薦めは、銀河鉄道の夜かな」


何事もなかったように続ける三河君に、絵梨がほっとしたような顔をしていた。

「あー、大は文系だもんな~」と松本君も呑気にそんなことを言う。