「帰んないの?」 はっとして、声のする方を見ると三河君が不思議そうな顔をしていた。 あれ、私いつからここにいたっけ? 時計を見ると、短い針が6を指していた。 こんなに長い時間、教室にいたのは初めてだ。 窓を見ると、夜に向かう空が綺麗なグラデーションで街を覆っていた。 「帰るよ。」教室で一人でいたことが、素の部分を見られたようで恥ずかしくなって、そう言って逃げるように席を立った。