碧くて、淡い【完】



「何よ、人の顔をジロジロ見て。
そんな食べたかった?
仕方ないなー、特別よ?」


そう言って、チョコケーキをくれた。


甘くなくて、少し苦いくらいだった。


それから、色々な話をした。

「お昼からケーキなんて豪華だね」
と言うと

「だって好きなんだもの」
と、幸せそうに笑った。

橘さんは宇宙と、洋菓子が好きなのだと教えてくれた。


「文芸部ってどんなことをするの?」


彼女はクラスの人全員の名前と、部活を覚えているらしかった。

意外だな、
私でもクラス全員の名前覚えてるか怪しいのに。
ましてや、部活なんて。


そう思っていると、


「今、意外だと思ったでしょ?分かりやすいな~」と楽しそうに言った。


結局、彼女はお昼休みが終わるまで一緒にいてくれた。



「楽しかった。また話そうね。」



(かえで)でいいよ。

いたずらっ子のように笑う彼女は、女の私でも見とれるほど綺麗だった。