「‥‥‥‥‥あの、‥‥‥‥何の本読んでるの?」 「‥‥‥‥くだらない」 じっと私の顔を見たあと、私にしか聞こえないくらいの小さな声でそう言った。 でも、とても芯があって凛とした声だった。 とても綺麗で真っ直ぐで、全てを見透かすような瞳(め)をしていた。 心臓を雑巾のように搾られて、血液がなくなっていくようだった。